犬の股異形成・股関節形成不全基礎知識

股異形成(股関節形成不全)は特に大型犬に多発する病気

股異形成(股関節形成不全)は股関節が変形する疾患です。
犬に多い遺伝的な疾患のひとつですが、最近では成育環境も病気の発症に関係している事が明らかになりました。

以前は「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」と呼ばれる事が多かったのですが最近では「股異形成(こいけいせい)」と呼ばれる事が多くなってきました。

症状:変化のないものから激しい痛みを伴うものまで

股異形成(股関節形成不全)は片方の股関節にだけ起る事もありますが
多くの場合、両方の股関節に起ります。

症状はこれといった変化のないものから
足を引きずったり、もちあげて歩く痛みを示すもの
後ろ足がたたなくなるものなど様々です。

一般には幼犬のときははっきりした症状はなく、
生後6ヶ月頃から異常が現れます。

歩くときに腰が左右に揺れたり
両足をそろえてとぶようになったりします。

また、普通の犬が座る体勢をいやがったりとれなくなる事が起ります。

これらの症状は
階段の昇り降りをいやがるようになる
運動を嫌う、すぐ座り込む、痛みのある様子をみせるなど
成長とともに顕著になっていきます。

また、痛みに伴うストレスから攻撃的な性格に変化することもあります。

進行すると異常のある股関節に脱臼や亜脱臼を起こしたり、
変形性膝関節症などの二次的な病気を引き起こすこともあります。

原因:遺伝的なものと肥満などが要因となり起るもの

股異形成(股関節形成不全)は股関節を形成する骨が十分に発達せず
大腿骨を受け止める骨盤のくぼみが浅かったり
本来は丸い大腿骨の先端が扁平に変形していると
骨が上手く噛み合ず歩行の異常などが起こります。

これまで遺伝によって起る異常とされていましたが
最近の研究で30%は環境に要因があることがわかりました。

また、発育期に肥満などのため股関節の骨及び軟骨にかかる体重と
骨や筋肉の支える力に差がありすぎると
骨の組織が変形し股関節が十分に発達できなくなると考えられています。

特に生後60日間はとても大切で肥満が大きな影響を及ぼします。

この病気が大型犬・超大型犬に多いのは小型犬・中型犬にくらべ
大型犬・超大型犬の成長の度合いが数倍も大きく
成長期に体重が急激に増えるためと
考えられています。

治療:体重をコントロールが第一、重度の場合は手術も

軽度の場合は内科療法をとり、安静にするのが第一です。
他にもペットがいる場合は生活を別にし
軽い運動と食事療法によって体重をコントロールします。

ある程度進行している場合には
非ステロイド系の抗炎症薬や鎮痛薬による治療も行われます。

もちろんその場合も運動と体重の制限が必要になります。

外科療法(手術)は通常
内科療法が効果を示さなくなったとき
股異形成(股関節形成不全)のために犬の運動機能が損なわれている場合
に適用されます。

予防:肥満の予防、とくに生後60日間は気をつける

股異形成(股関節形成不全)は遺伝的要素が大きい病気なのですが
肥満は発症のきっかけにもなります。

ある研究では
同じ親から生まれても生後8週目から食事制限をした子犬は
自由に食べさせた子犬に比べて発症率が低い事がわかりました。
これは早い時期から生活を管理する必要がある事を示しています。

生後60日間の肥満が大きな影響を及ぼす病気ですので
子犬のころから体重管理には十分気をつけましょう。

 

 


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